Archive for the ‘声明’ Category

核兵器禁止条約発効3年にあたっての声明

月曜日, 1月 22nd, 2024

核兵器禁止条約発効3年にあたっての声明

 本日(2024年1月22日)は、核兵器禁止条約(TPNW)が発効して3年となる。現在、93か国が署名し、70か国が批准している。
 2022年2月、ロシアがウクライナに侵略し、その後、戦火の続く中、2023年10月、パレスチナ自治区ガザ地区でも武力紛争が発生している。イスラエルの攻撃が今も継続しており、パレスチナ人の死者は24000人を超え、うち子どもの死者は10000人を超えると報じられている。病院や避難所まで爆撃を受ける状況であり、まさに、ジェノサイド(集団虐殺)を遂行している状況になっている。国際司法裁判所では、南アフリカがイスラエルに対し、ジェノサイドであるとして、軍事行動の即時停止を求める裁判が進行している。先日開かれた弁論では、現在の状況が1948年以降のイスラエルのパレスチナに対する戦争、侵略、占領の延長の結果としてあることを南アフリカが明らかに示した。戦争を止めさせ、パレスチナの人々の平穏な生活を取り戻さなければならない。
 ロシアもイスラエルも核兵器の保有国であり、核兵器の存在によって、戦争は抑制されるという「核抑止」が破綻していることを示している。2023年11月に開催された核兵器禁止条約の締約国会議の政治宣言でも、核抑止については、核兵器が「強制、脅し、緊張の激化につながる政策の道具」として使われており、核抑止によってこれを正当化しようとする試みは、核兵器に誤った評価を与えるもので、これにより核兵器の水平的・垂直的拡散のリスクを高めていると指摘されている。
 核兵器の保有国が戦争を発動し核兵器の使用を検討している状況は、これまでになく、核兵器の使用のリスクが高まっているのであり、世界は一刻も早く核兵器を禁止し廃絶する以外に、人類が安心して生き延びる道はない。
 私たちは、核兵器保有国が安全保障を理由に核兵器の廃絶を先延ばしすることに抗し、日本政府に核兵器禁止条約へ速やかに署名・批准することを求めるとともに、核の廃絶を求める世界中の核被害者とつながり、核なき世界をめざしていきたい。


2024年1月22日
核兵器廃絶をめざすヒロシマの会(HANWA)
代表 足 立 修 一

G7広島サミットに対する声明

金曜日, 5月 12th, 2023

G7広島サミットに対する声明

 ここヒロシマは、78年前にアメリカ軍が投下した一発の原子爆弾で十数万人の市民が無差別に虐殺された人類史に刻まれた地である。この地には名も知れぬ無数の人々の遺骨が重なる。また原爆の地獄を生き残った人々は78年後の今日も晩発性放射線障害に苦しみ、死が訪れるまで彼らにとっての戦争が終わることはない。だからこそヒロシマに生きる私たちは核兵器廃絶を全力で発信し続けるのである。

 このヒロシマに核保有国とその軍事同盟国のG7首脳が集うのであれば、その目的はただひとつ。核兵器禁止に向けた具体的かつ積極的な検討以外にはありえない。そうでなければヒロシマに集う意味は全くないと私たちは断言する。

 今日、ロシア政府のウクライナ侵略によって核戦争の危機はかつてなく高まっている。

 岸田首相は、2022年8月国連で、「ヒロシマ・アクション・プラン」を公表し、①核兵器不使用の継続の重要性を共有すべきこと、②核戦力の透明性の向上、③核兵器数の減少傾向を維持する、④核兵器の不拡散を確かなものとすること、⑤各国の指導者等による被爆地訪問の促進を通じ、被爆の実相に対する正確な認識を世界に広げることを求めた。

 これについて、原子力の平和的利用の促進を除き、それらの行動は進められるべきだが、これまでの国際的な状況、交渉の進展に照らし、不十分なものというべきである。

 すなわち、1996年の国際司法裁判所(ICJ)勧告的意見(核兵器の使用は一般的には国際法に違反する)、2000年、2010年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の最終文書で合意された核兵器を全廃させることについての明確な約束、2018年国連規約人権委員会での一般的意見、2021年の核兵器禁止条約の発効などの動きを踏まえるなら、ヒロシマ開かれるG7では、これまでの合意を一歩でも前進させる合意を求めたい。

 特に、2023年4月に発せられたG7外相会合のコミュニケでは、ロシア、中国、北朝鮮の核兵器について、様々な問題を指摘する一方で、自分たちが持っている核兵器については、「我々の安全保障政策は、核兵器は、それが存在する限りにおいて、防衛目的のために役割を果たし、侵略を抑止し、並びに戦争及び威圧を防止すべきとの理解に基づいている。」として、正当化を図っている。

 しかし、全ての核兵器が廃絶されるべきとの明確な約束が反故にされるかのような認識がヒロシマで開催された会議で表明されることは許されない。

 「核兵器のない世界」は「理想」ではない。核戦争の危機を回避し、核被害者をこれ以上生み出さないための、その現実的な第一歩こそが核兵器禁止条約である。G7首脳は、このヒロシマで核兵器の禁止にむけた具体的な議論に着手せよ!期限を定めて核兵器禁止条約への参加のプロセスをつくれ!

 G7広島サミットに参加する核保有国首脳は、自らの核開発によって生み出した世界の核被害者に対する責任を果たす義務がある。核保有国の核の傘のもとで、連携して核開発を推進してきた同盟国の首脳も同様である。核の被害者への贖罪と人類の未来のために、ここヒロシマの地で核兵器禁止を誓うべきではないか。

 私達はG7サミットに集う各国首脳に以上のことを強く要求する。

2023年5月13日

核兵器廃絶をめざすヒロシマの会(HANWA)

代表 足立 修一

 

Statement to Commemorate the Second Anniversary of the TPNW

木曜日, 1月 26th, 2023

Two years ago today the Treaty on the Prohibition of Nuclear Weapons (TPNW) came into effect. 92 countries have so far signed the Treaty and 68 have ratified it.
In February, 2022, Russia invaded Ukraine and has threatened to use nuclear weapons. We are faced with the crisis of a nuclear war. The hibakusha and citizens of Hiroshima appeal that such weapons must never be used. Nuclear warfare has neither winners nor losers and inevitably leads to the destruction of the earth. We demand the war which continues to kill so many innocent people be stopped and ended urgently.
77 years ago, Hiroshima was annihilated by the American nuclear attack. The victims included not just Japanese people. People from the Korean Peninsula and Taiwan, both under Japan’s colonial rule, Chinese laborers made to come to Japan by force, American POWs, and Southeast Asians and Chinese people invited to study in Japan by the national policy were also indiscriminately killed when they were exposed to the atomic bomb. Not only the direct power of the bomb (heat rays, blast and initial radiation), but also residual radiation caused people to develop illnesses after they entered the city later. Radioactive fallout even reached areas farther than 30 kilometers. After the war ended, it was estimated that about 140,000 people of Hiroshima lost their lives by the atomic bombing before the end of the year 1945. Many survivors have died of leukemia or cancer. Nagasaki was also bombed by a nuclear weapon and experienced a similar situation.
The first meeting of the States Parties was held in July last year and the Vienna Declaration was adopted. Problems to be solved include how the Treaty should be made universal and how global nuclear survivors should be aided. We hope that the second meeting to be held in November this year deepens debates on these matters.
Last August, the NPT Review conference met but there was no forward movement and no documents were adopted, even though the previous meetings in 2000 and 2010 had confirmed that Article 6 of the Treaty declairing the States Parties have the duty of complete nuclear disarmament (=prohibition of nuclear weapons). This is an extremely regrettable situation. It is not forgivable that nuclear states should turn their backs on signing and ratifying the Treaty, which complements the NPT.
We protest against nuclear powers postponing abolition of nuclear weapons for security reasons. The Japanese Government should sign and ratify the Treaty as soon as possible. We will try to realize the nuclear-free world working in cooperation with global nuclear survivors.

January 22nd, 2023
Shuichi Adachi
President of the Hiroshima Alliance for Nuclear Weapons Abolition (HANWA)

※この英文は「核兵器禁止条約発効2年にあたっての声明」英訳です。

核兵器禁止条約発効2年にあたっての声明

日曜日, 1月 22nd, 2023

 本日(2023年1月22日)は、核兵器禁止条約(TPNW)が発効して2年となる。現在、92か国が署名し、68か国が批准している。

 2022年2月、ロシアがウクライナに侵略し、核兵器を使用する旨の威嚇を行うなど、現在、核戦争の危機に直面している状況にある。しかし、広島の被爆者と市民は、決して核兵器を使用してはならないこと、核戦争に勝者はなく、地球の破滅をもたらす結末となること、今も続く戦火により多くの無辜の人々が殺されていることを一刻も早く終わらせ、停戦・終戦することを訴える。

 77年前、広島市はアメリカ軍の核兵器の爆撃により壊滅させられた。日本人だけではなく植民地支配していた朝鮮半島・台湾出身者、強制連行された中国人、アメリカ人捕虜や、国策により東南アジア諸国や中国から日本に留学した人たちも無差別に被爆させられ、また、死亡させられた。また、原爆の爆裂による直接の威力(熱線・爆風・初期放射線)だけでなく、残留放射線による被爆は爆撃後広島市内に入った人にも及び、放射性降下物による被爆は爆心地から30キロを超える地域にまでも及んだ。戦争が終わった後、広島での死亡者は1945年末までで約14万人と推定され、現在に至るまで白血病やガンにより多くの被爆者が死亡させられてきている。また、3日後に爆撃された長崎市も同様な原爆の爆撃を受け、同様の状態になっている。

 昨年6月、核兵器禁止条約の第1回締約国会議が開催され、ウィーン宣言が採択された。核兵器禁止条約の普遍化と核被害者の援護などが課題となっている。本年11月に開催される第2回締約国会議で、議論が深まることを期待したい。
 昨年8月、核不拡散条約(NPT)再検討会議が開催されたが、最終文書の採択に至らなかった。同条約6条の核軍縮義務を履行し完結する(=核兵器を廃絶する)ことは、2000年、2010年の最終文書で確認されているにもかかわらず、一歩も前進しなかったことは極めて残念な事態である。核兵器保有国がNPTを補完するTPNWの署名・批准に背を向ける態度を取ることは許されない。

 私たちは、核兵器保有国が安全保障を理由に核兵器の廃絶を先延ばしすることに抗し、日本政府に核兵器禁止条約へ速やかに署名・批准することを求めるとともに、核の廃絶を求める世界中の核被害者とつながって核なき世界をめざしていきたい。

2023年1月22日

核兵器廃絶をめざすヒロシマの会(HANWA)

代表 足 立 修 一

核戦争を招く「安保3文書」閣議決定の撤回を求める(声明)

木曜日, 1月 19th, 2023


 岸田内閣は12月16日、「国家安全保障戦略」などの安保3文書を改定する閣議決定を行った。歴代の自民党政権が、現行憲法のもとでは「保有できない」としてきた敵基地攻撃を目的とする武器を保有し、国際法にも反する先制攻撃すら可能にする内容をはらんでいる。果てしない軍拡競争となる恐れがあり、その行きつく先は核兵器保有、核戦争である。被爆地ヒロシマから核兵器の廃絶を訴え続けてきた私たちは断じて容認できず、閣議決定の即時撤回を強く要求する。

 「ウクライナ戦争」により世界は核戦争の危機に直面している。戦争被爆国である日本の政府が行うべきことは、核戦争の危機を回避させることである。被爆地ヒロシマから選出された岸田文雄首相には、とりわけその責務があるはずだ。しかしいま首相は、アジアにおいても軍事緊張を高め、戦争の引き金に指をかけようとしている。首相はヒロシマの有権者の声を「聞く力」も失ってしまったのか。私たちは大きな失望感のなかにいる。

 安保3文書のうち「国家安全保障戦略」は、中国の軍事動向を「これまでにない最大の戦略的挑戦」と断定し、「同盟国・同志国と連携して対応すべきもの」とした。安全保障政策の大転換が、中国を想定していることを明示したものである。また、2027年度の軍事費を対GDP比で現状より倍増して2%とすることも明記している。

 「国家防衛戦略」と「防衛力整備計画」では、周辺国のミサイル戦力の増強を口実に、ミサイル防衛網の強化に加えて、遠方から敵を攻撃する「スタンドオフ防衛能力」の主力として米国製巡航ミサイル「トマホーク」の購入を明記し、2027年度までの5年間の軍事費総額を43兆円にするとした。2023年度予算案での軍事費は公共事業費より多い10兆1686億円に達し、社会保障関係費に次ぐ規模になった。これは日本国憲法の基本精神を踏みにじる軍事国家への道であると言わざるを得ない。

 特定の国との関係を軍事的な敵対関係とすること自体が憲法の理念とは整合せず、日本が東アジアの軍事的脅威と受け取られる危惧がある。隣国であり、歴史的にも経済的にも深い関係にある中国を敵視し、対立の最前線に立つと宣言することは極めて無謀である。

 経済が成長せず、少子化も止まらない日本に巨額の軍事費を捻出する余裕はない。敵国より強い軍隊を持たなければ平和は維持できないとする、時代遅れの「抑止力」を口実に軍備増強をはかれば、庶民のくらしはますます厳しくなる。とりわけ、コロナ禍と物価高騰によって、くらしや生業の困難さが増している時に、「防衛増税」の論議をすすめる政府には怒りを禁じえない。

 岸田首相は、軍事力増強のための増税に関し「将来の世代に対し責任を有する今の国民が負うべき責務だ」と述べたが、これが想起させるのは、第二次世界大戦による国民の戦争被害に対し、政権が「国民等しく負うべき」とする「受忍論」である。

 いまこそ「NO WAR NO NUKES(戦争やめろ 核戦争するな)」の声を大きくし、「自衛」の名において他国へ軍事侵攻しないよう、戦争法(安保法制)の廃止と「安保3文書」の改定閣議決定撤回をめざして闘い抜く決意をヒロシマの地から強く表明する。

2022年12月26日
核兵器廃絶をめざすヒロシマの会(HANWA)

代表 足立修一

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※この声明は、12月26日、岸田首相宛に送られました。

声明文(2022年3月8日)

火曜日, 3月 8th, 2022

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2022年3月8日 HANWAキャンドル・アピール 声明文

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ロシア軍の軍事行動の即時中止を

求め、核兵器の威嚇・使用に

絶対に反対します。

原発への攻撃・占拠を直ちに

やめよ。


 プーチン大統領は、ロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻を2月24日に開始しました。多くの一般市民がこれにより、被害を受け苦しんでいます。避難民も大量に発生し、150万人もの人々が周辺国に避難しています。プーチン大統領の行ったロシア軍の行為は、国際関係における武力による威嚇又は武力の行使を禁じている国連憲章(第2条第4項)への明確な違反であり、侵略と評価されるべきものです。私たちは、ロシア軍の軍事行動の即時中止を求めます。


 さらに、プーチン大統領は、自国が核兵器の保有国であることに言及し、2月27日には核抑止部隊を高度の警戒態勢に置きました。これはロシアによる核兵器の使用の威嚇といえる行為であり、私たち被爆地のヒロシマの市民は強く抗議します。


 このほかにも、ロシア軍は、ウクライナの原子力発電所や国立物理技術研究所の敷地内の核物質を扱う施設を攻撃したと報じられていますが、これらは「核テロ」と評価できるものであり、強く非難されるべきです。


 他の誰にも2度と原爆の苦しみを体験させてはならないと訴える被爆者と核兵器の廃絶を求める市民の声が、今こそ求められています。


 私たちは、ウクライナで不当な砲撃に逃げまどいながらも「プーチンの侵略許さない!」の声を上げている民衆や、プーチン強権の弾圧に抗して「戦争反対」に立ち上がっているロシアの民衆に連帯し、人類を戦争・核に破滅させないため広島・原爆ドーム前からキャンドル1300本に灯をともし<NO WAR  NO NUKES! HET BOЙHE!>世界に発信しました。


 核戦争の危機がプーチンの侵略を機に高まっている状況を利用し、日本の政界で画策され始めた「核」共有論は、核の保有と使用が憲法に違反しないと強弁する危険極まりない動きです。


 私たち被爆地のヒロシマの市民は、世界を破滅に導く戦争と核兵器の使用に絶対に反対します。

2022年3月8日      

核兵器廃絶をめざすヒロシマの会(HANWA)

代表 足 立 修 一

Statement to Commemorate the 1st Anniversary of the TPNW

火曜日, 2月 22nd, 2022

Statement to Commemorate the 1st Anniversary of the TPNW

Today marks the first anniversary of the Treaty on the Prohibition of Nuclear Weapons (TPNW) coming into force. As of today, 86 countries have signed it, with 59 having ratified it.
76 years ago, the city of Hiroshima was annihilated by the US Military attack. Casualties were not only Japanese, but there were many people from abroad exposed to radiation and were killed: those from the Korean Peninsula and Taiwan, both colonized by Japan, Chinese forced to work in Japan, American POWs, and Southeast Asians studying in Japan due to Japan’s policy. Direct exposure to radiation was caused when the bomb was detonated, but even after that, residual radiation affected people who entered the city after the bombing. Radioactive fallout reached those caught in Black Rain more than 30 kilometers from the hypocenter. Estimated fatalities at the end of the year 1945 numbered approximately 140 thousand, followed by deaths from leukemia and cancers until the present day. Nagasaki was bombed three days later and suffered similar damage.
In March 1954, a Japanese tuna fishing boat (Lucky Dragon No. 5) was exposed to radiation emitted from a hydrogen bomb test (1,000 times more powerful than the Hiroshima Bomb) at Bikini Atoll approx. 160km from the atoll. This incident triggered the movement in Japan against A- and H-bombs by hibakusha who rose up saying, “We know through experience that we must save humans from this crisis.” One result of the movement was medical care to Hiroshima and Nagasaki hibakusha started twelve years after the bombing.
In July 2017, the TPNW was adopted at the United Nations conference and was enacted on January 22nd, 2021. Nuclear weapons are now illegal by international law. This helped people around the world understand the inhumane consequences of nuclear weapons suffered by A-bomb hibakusha and nuclear victims throughout the world as well.
However, the five nuclear powers delivered a joint statement on January 3rd this year that a nuclear war cannot be won, without any mention of when and how to reduce more than the current 13,000 nuclear weapons, and when and how they will perform and complete their duty of nuclear disarmament (Article VI of the NPT). Since there has been a definite agreement among the member states to conclude the duty in previous Review Conferences, the TPNW is ‘an important treaty that could be regarded as a final passage to a world without nuclear weapons’ (Prime Minister Kishida), and as such, the nuclear weapon states cannot be excused from their duty to sign and ratify the Treaty.
We oppose the nuclear weapon states delaying the abolition of such weapons. We demand that the Government of Japan sign and ratify the Treaty immediately. We must also make a joint effort with global hibakusha who wish to see a world without nuclear weapons.

January 22, 2022
Shuichi Adachi
President
Hiroshima Alliance for Nuclear Weapons Abolition (HANWA)


※この英文は2022年1月22日HANWAより発出された「核兵器禁止条約発効1年にあたっての声明」の英訳です。

核兵器禁止条約発効1年にあたっての声明

土曜日, 1月 22nd, 2022

この声明は2022年1月22日にHANWAより発出されました。

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核兵器禁止条約発効1年にあたっての声明

 本日、核兵器禁止条約が発効し、1年が経過した。86か国が署名し、59か国が批准している。

 76年前、広島市はアメリカ軍の核兵器の爆撃により壊滅させられた。日本人だけではなく植民地支配していた朝鮮半島・台湾出身者、強制連行された中国人、アメリカ人捕虜や、国策により東南アジア諸国や中国から日本に留学した人たちも被爆したり死亡させられたりした。爆裂による直接の被爆だけでなく、残留放射線による被爆は爆撃後広島市内に入った人にも及び、放射性降下物による被爆は爆心地から30キロを超える地域の黒い雨を浴びた人にまでも及んだ。広島での死亡者は1945年末までで約14万人と推定され、その後も現在に至るまで白血病やガンにより死亡させられてきた。3日後に爆撃された長崎市も同様な被爆を受けた。

 1954年3月、アメリカによるビキニ環礁での水爆実験(広島原爆の1000倍の威力)により、爆心地から約160キロの距離に停泊していた日本のマグロ漁船(第五福竜丸)が被ばくさせられたことを契機として、日本では被爆者が「自らの体験を通して人類の危機を救おう」と原水爆禁止を求める運動に立ち上がり、また、広島・長崎の被爆者に対する医療援護が被爆12年を経て行われるようになった。

 2017年7月、国連で核兵器禁止条約(TPNW)が採択され、2021年1月22日に発効した。このことは、広島の被爆者をはじめとする世界の被爆者の被害、すなわち、核兵器の非人道的影響を世界の人々が広く認識するに至り、国際法で核兵器の使用が禁止された。核兵器廃絶に向けての大きな一歩となった。

 これに対し、本年1月3日、米ロを含む核兵器保有5か国は、「核戦争に勝者はない」と言及する声明を発した。しかし、具体的に、現在13000発以上存在する核兵器につき、いつ、どのように減らし、核不拡散条約(NPT)6条の核軍縮義務を履行し完結する(=廃絶する)のか、への言及はなかった。これまでのNPT再検討会議で軍縮義務を完結する明確な約束が合意されていることに照らせば、TPNWは、「核なき世界への出口ともいえる重要な条約」(岸田首相)であり、核兵器保有国がTPNWの署名・批准に背を向ける態度を取ることは許されない。

 私たちは、核兵器保有国が安全保障を理由に核兵器の廃絶を先延ばしすることに抗し、日本政府に核兵器禁止条約へ速やかに署名・批准することを求めるとともに、核の廃絶を求める世界中の核被害者とつながって核なき世界をめざしていきたい。

2022年1月22日

核兵器廃絶をめざすヒロシマの会(HANWA)

代表 足 立 修 一

要請書

火曜日, 12月 14th, 2021

次の要請書は2021年12月13日にHANWAより発出されました。

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岸田文雄 内閣総理大臣殿
林 芳正 外務大臣殿
要 請 書


 2022年1月4日からニューヨークで核不拡散条約(NPT)の再検討会議が開かれ、また、同年3月22日からウィーンで核兵器禁止条約締約国会議が開かれることになっています。これらの会議での議論は、核兵器廃絶に向けた重要な意義をもつものです。
 広島の被爆者は、長崎とともに、自らの被爆体験とその後の人生の苦しみ・悲しみをそして一瞬にして尊い数十万の命が奪われたことを他の誰にも経験させてはならないとの思いで、国内外で証言を続けてきました。このことが世界の人々を動かし、核兵器の非人道的影響が理解され、本年1月22日に発効した核兵器禁止条約に結実しました。史上初めて核兵器を全面的に禁止した条約は、被爆地広島・長崎の私たちにとっては、悲願そのものです。
私たちは、核兵器保有国がNPT条約第6条の核軍縮義務、核兵器を廃絶する明確な約束を遵守し、核軍縮を着実に進めること、及び核兵器禁止条約が普遍化し、国際人道法の原則に反する核兵器が二度と使用されないことを心から願っています。
 しかし日本政府は、核兵器禁止条約が目指す目標を共有しているとしながらも、日米同盟の下では米国の核抑止力を維持することが必要だとし、核兵器禁止条約は、核兵器保有国から支持を得られず、核軍縮に取り組む国際社会に分断をもたらしているとし、現時点で署名批准はできないとしています。
原爆投下で甚大な被害を受けた日本では、今なお多くの被爆者が原爆症をはじめとする疾病・障害で苦しみ、また、これまで援護から取り残されてきた「黒い雨」被爆者もようやく救済の緒につくなどその非人道的影響はますます明らかになっています。戦争被爆国である日本には、核兵器廃絶の先頭に立つべき道義的責任があります。
私たちは、NPT条約第6条が、核軍縮について「誠実に交渉する」義務を核兵器保有国に課しており、核廃絶を目指すことが合意されていることから、核兵器禁止条約はNPT条約を補完するものであると認識しています。

 核兵器が使用されると、人類の生存を根底から脅すことになる人道的影響がある。核兵器禁止条約を推進する国々のこの認識は、日本政府も共有できるはずです。よって全ての核兵器保有国が核の先制不使用を表明するよう働きかけるべきです。
 ことに岸田文雄首相は、爆心地のある広島1区選出の国会議員として初めて内閣総理大臣に就任し、広島の原爆被害の状況を最もよく知る立場にあり、つねづね「核兵器廃絶はライフワーク」と発言しています。日本の世論は、条約への署名・批准や締約国会議へのオブザーバー参加に積極的です。この声に応えるためには、安全保障を非人道的な核兵器に依存する核抑止政策から抜け出すことが不可欠です。非核三原則を有する日本が、北東アジア非核兵器地帯構想を検討することがその答えになります。アメリカとの軍事同盟であるNATO加盟国のドイツ、ノルウェーはすでに締約国会議への参加を表明しています。
 広島市の松井一実市長は過日、長崎市の田上富久市長とともに岸田首相に面会し、締約国会議への参加を直接求めました。「核兵器による平和」を否定し続けてきた広島の私たちが国会に送り出した岸田首相に求めるのは、核兵器の惨禍を体験した国として、主体的・自立的にリーダーシップを発揮することです。核兵器廃絶に向けて具体的なステップを踏み出した締約国会議に、戦争被爆国としての自立的意思でオブザーバー参加することはその第一歩ではないでしょうか。その先にこそ、日本政府の言う「橋渡し」のあり方が具体的に見えてくると考えます。
私たちは、日本政府に対して、広島、長崎への原爆投下の人類史上の意義と人道的影響を踏まえて決断を求め、以下のことを要請します。

1 日本政府として、核兵器禁止条約の署名・批准を行うこと。

2 NPT再検討会議で、全ての核保有国が核の先制不使用を表明することへ
の働きかけをすること。

3 核兵器禁止条約締約国会議にオブザーバーとして参加すること。

4 上記1を前進させるためには、日本が核抑止政策から抜け出す必要があり、そのために北東アジア非核兵器地帯構想の検討開始を表明すること。

2021年12月13日


核兵器廃絶をめざすヒロシマの会 代表 足 立 修 一

NO NUKES FUTURE! TPNW 2021キャンドルメッセージ

土曜日, 1月 23rd, 2021

2021年1月22日(金)原爆ドーム前広場で開催、

17時~設置準備、18時~18時半集会

司会:渡部朋子(ICAN・HANWA運営委員)

HANWAメッセージ:足立修一(HANWA共同代表)

挨拶:森滝春子(HANWA共同代表)

写真撮影:中奥岳生

準備等、被爆者の方々はじめいろいろな方が参加されました。

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HANWA声明文(当日発表分)

「核と人類は共存できない」

非人道的、無差別大量虐殺兵器・核兵器は本日国際法によって禁止された。

これからが、人類と核との闘いだ。核なき未来を築くために。

核被害の根絶を! 核時代に終焉を! 連帯の絆を築こう!

核兵器廃絶の闘いは、米国が広島・長崎の上に無差別の虐殺兵器を投下して以来75年間、広島・長崎の被爆者をはじめとする多くの先人たちを中心に不断の闘いがとり組まれてきた。

この10年間は、NPT不拡散条約の枠内では核軍縮が全く進まない膠着状態で出口の見えない状態からの飛躍を求めて、有志国家と諸国際機関、NGOが連携して国連の枠を超えた積極的な取り組みが進んだ。広島では核兵器廃絶を目指すヒロシマの会(HANWA)が2009年から意識的に取り組み諸国際機関に働きかけてきた。

核による爆撃では、市民に対する無差別殺戮が行われ、日本の植民地支配の結果、日本に強制動員された朝鮮半島出身者や連合国の捕虜も犠牲となった。

核兵器禁止条約は、このような核兵器の使用による非人道的影響に着目し、核兵器を違法な兵器とし、その開発、実験、製造、備蓄、移譲、使用及び威嚇としての使用の禁止ならびにその廃絶を規定し、これまでの核による人間や環境の被害への支援、補償を求め、これにより、核兵器が存在する限り生じる危険性を一切排除するものである。

同じ思いの多くの国々や国連、国際赤十字・赤新月社運動、ICANなどのNGO団体とともに核兵器を法的に禁止することを求めて赤十字国際委員会や核不拡散条約(NPT)再検討会議など国内外で訴えてきた。条約の発効は、このような活動の一定の到達点として、新たなスタートに立つべき決定的な歴史的意義を持つものである。

今、核兵器をめぐる世界の状況は米露が核軍縮のための各種の条約を失効させ、小型核兵器の開発、実戦使用の道を進めるなど、核戦争をもたらす危機的状況にあるが、この動きを世界中から包囲し封じていかねばならない。

日本政府は、アメリカの核の傘に依存する安全保障政策を執り、核兵器禁止条約は、日本の安全保障を弱体化するものとして、同条約に署名しないとの態度を示している。

しかし、核の傘に依存するというのは、核兵器の使用を前提とするもので、ひとたびの核兵器の使用が連鎖的な使用に繋がり、ひいては、地球規模の気候変動により、人類、否、生物の生存自体が危険にさらされる事態を招来することが懸念されるのである。昨年来、新型コロナウィルス感染症の世界的流行により、これまでに200万人を超える人々の命が奪われた。軍事力をいくら強化しても、人々の命が守れない事態が起こっている。

日本の市民は、約7割が核兵器禁止条約に参加すべきとしている。

私たちは、日本政府に対し、核兵器禁止条約に一刻も早く早期に署名・批准することを求める。オバマ政権時代に「核兵器先制不使用」を核政策に盛りこもうとしたことに、日本政府が、強く反対し潰えたことがある。アメリカがバイデン政権になるこの時期に再びこのような核抑止力に依存した日本政府の姿を我々拒否する。

ヒロシマから世界へ  届けよう核被害者の声を!

2021年1月22日

   核兵器廃絶をめざすヒロシマの会

   核兵器禁止条約ヒロシマ共同行動参加者一同

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(HANWA声明文 ロングバージョン)

核と人類は共存できない」

非人道的、無差別大量虐殺兵器・核兵器は本日国際法によって禁止された。

これからが、人類と核との闘いだ。核なき未来を築くために。

核被害の根絶を! 核時代に終焉を! 連帯の絆を築こう!

核兵器廃絶の闘いは、米国が広島・長崎の上に無差別の虐殺兵器を投下して以来75年間、広島・長崎の先人たちを中心に不断の闘いがとり組まれてきた。

この10年間は、核不拡散条約(NPT)の枠の中では核軍縮が全く進まない膠着状態で出口の見えない状態からの飛躍を求めて、有志国家と諸国際機関、NGOが連携して国連の核を超えた積極的な取り組みが進んだ。広島ではHANWAが2009年から意識的に取り組み諸国際機関に働きかけてきた。

核に爆撃では、市民に対する無差別殺戮が行われ、日本の植民地支配の結果、日本に強制動員された朝鮮半島出身者や連合国の捕虜も犠牲となった。

核兵器禁止条約は、このような核兵器の使用による非人道的影響に着目し、核兵器を違法な兵器とし、その開発、実験、製造、備蓄、移譲、使用及び威嚇としての使用の禁止ならびにその廃絶を規定し、これまでの核による人間や環境の被害への支援、補償を求め、これにより、核兵器が存在する限り生じる危険性を一切排除するものである。

同じ思いの多くの国々や国連、国際赤十字・赤新月社運動、ICANなどのNGO団体とともに核兵器を法的に禁止することを求めて赤十字国際委員会や核不拡散条約(NPT)再検討会議など国内外で訴えてきた。条約の発効は、このような活動の一定の到達点として、新たなスタートに立つべき決定的な歴史的意義を持つものである。

今、核兵器をめぐる世界の状況は米露が核軍縮のための各種の条約を失効させ、小型核兵器の開発、実戦使用の道を進めるなど、核戦争をもたらす危機的状況にあるが、この動きを世界中から包囲し封じていかねばならない。

日本政府は、アメリカの核の傘に依存する安全保障政策を執り、核兵器禁止条約は、日本の安全保障を弱体化するものとして、同条約に署名しないとの態度を示している。

しかし、核の傘に依存するというのは、核兵器の使用を前提とするもので、ひとたびの核兵器の使用が連鎖的な使用に繋がり、ひいては、地球規模の気候変動により、人類、否、生物の生存自体が危険にさらされる事態を招来することが懸念されるのである。本年は、新型コロナウィルス感染症の世界的流行により、これまでに115万人もの人々の命が奪われた。軍事力をいくら強化しても、人々の命が守れない事態が起こっている。

日本の市民は、約7割が核兵器禁止条約に参加すべきとしている。

私たちは、日本政府に対し、核兵器禁止条約に一刻も早く早期に署名・批准することを求める。ましてや、米国がオバマ政権時代に「核兵器先制不使用」を核政策に盛り込もうとして、日本政府などが強く反対し潰された。バイデン政権になるこの時期に再びこのような核抑止力に依存した日本政府の姿を我々は拒否する。

核利用のサイクルはウラン採掘に始まり、精錬、核兵器・核燃料製造、核実験、核兵器使用、原発稼働、原発事故、使用済み核燃料の再処理、核廃棄物の保管・処分、劣化ウラン兵器使用など、あらゆる段階で放射能による広範な環境汚染と人体への深刻な影響をもたらしてきた。

世界各地で行われた2千回を超える核実験は世界中に放射能汚染を広げ、実験場周辺だけでなく広い範囲の住民の命と健康、暮らしを奪い取ってきている。

世界の400基を超える原発では、労働者は通常稼働状況下でも被曝を余儀なくされています。チェルノブイリ事故、福島原発事故では膨大な量の放射能が放出され、数十万人の人々の命と健康、暮らし、ふるさとを奪い、地球規模で環境を汚染してきた。

我々は、インドのウラン鉱山採掘現場、劣化ウラン弾を撃ち込まれたイラクの現場、ネバダ核実験場の風下住民の現場、そして原発大事故により失われた福島の人々の生活・健康・自然環境の現場など核災害の地を訪れ現地調査をしてきた。ここに見られるのは必ず、一握りの巨大資本の利益やそれを代弁する政治家のために理不尽に踏みにじられる民衆の犠牲の姿である。

核は、その開発の入り口から出口に至るあらゆる過程で、甚大な被害を人間や環境に及ぼしてきました。ウラン鉱山での採掘、ウランの精錬、ウラン鉱滓の廃棄、ウラン濃縮過程、核兵器製造、核実験、核兵器使用、原子力発電の事故・放射能漏れ、原発労働、核廃棄物利用の劣化ウラン兵器使用などすべての場面で、深刻な放射能被害をもたらす実態を見せつけられてきた。

インドにおける核開発は、ウラン鉱山周辺に住む先住民の人権を踏みにじりながら深刻な環境汚染、人体への放射能被害を引き起しています。我々は現地を何度か訪れて専門家の協力のもとに実態調査や先天性障害児などの支援をしてきたが、放射能による環境汚染、出産異常、多指・欠損指、眼球欠損、先天性知的障害、小頭症、巨頭症など先天性障害の多発、白血病・がんなどによる高い死亡率など悲惨な実態が明らになった。原発や核兵器の原料とするためのウランの採掘はインドのほかにもオーストラリアの先住民アボリジニー地域やアメリカ、カナダの先住民地域などで続けられている。いずれの地域でも先住民の生活、基本的人権を奪いながら放射能被害を押しつけているのだ。

湾岸戦争に続きイラク戦争においても放射能兵器である劣化ウラン弾の大量投下がなされた結果、深刻な状況を引き起こしている。イラク戦争直前、直後のイラクへ赴き戦争被害や劣化ウラン被害調査や支援をしてきた。訪れる病院で見る多くの子供たちの苦しみ―白血病で末期症状を示す子どもたち、脳など身体のいたる所へのがん転移、心身に先天性障害を持たされた上に、様々ながんに苦しみ死んでいく子どもたちの様子は、広島における原爆投下後の被害の状況と重なるもので、劣化ウラン兵器がもたらす放射能被害の凄まじさを示していた。劣化ウラン弾による放射能汚染は、採集し持ち帰ったチリ、土壌、水、尿などのサンプルの専門機関による分析によって明らかになっている。飲料水、土壌の汚染、白血病を患う子供たちの尿に取り込まれた劣化ウランの検出は、すでに顕著ながんなどの著しい発症増加の現状から今後の深刻な状況が懸念されている。劣化ウラン兵器は、核開発サイクルの出口での問題であるが、原発燃料や核兵器製造に使用する核分裂性放射能元素235を取り出した滓の核廃棄物を利用した兵器であり、原発・核兵器と表裏の関係にある。

福島原発事故後、現地を何度か訪れた。原発事故で取り返しのつかない被害を蒙った飯舘村をはじめ、伊達市、南相馬市の原町区、小高区、川俣町、福島市松川町などの核被災の現場を歩き、多くの被災した人々にも出会った。イラクで使った放射線量計を日本国内で使うことになるとは予想もしていなかったが、各所で測定して歩いたところ、2012年11月、事故後1年8ヵ月経った時点でしたが福島各地の放射線量は非常に高くイラクでの劣化ウラン汚染による放射線量値と同程度かそれを上回る数値を示し、福島各地では深刻な放射能汚染がきわめて広範囲に起きてしまっている事実に改めて愕然とさせられた。農業、牧畜業が放棄されている地域では自然の荒れが目立ち、原発事故災害に加えて津波被害地でもある南相馬市・小高地区などでは、震災後長らく避難指示と警戒区域指定のため遺体捜査にも入れない状態で、農地か沼地か区別もつかないほどの荒地には、あちこちに壊れた船や家、自動車などの残骸が集められることもなく放置されていました。

浪江町警戒区域の無人ゲートの横には、牧場が広がり数多くの牛たちがいた。そこで牛たちに飼料を与えるため来ていた「希望の牧場」代表の吉澤正巳さんたちに出会った。原発事故により放射線被曝をした牛は出荷できないままに、警戒地域に指定され、移動さえもできなくなり、それゆえに、取り残された牛の多くは餓死・ミイラ化したり、生き残り野生化した牛も、国は殺処分の決定をしました。浪江町の400軒の和牛農家の人々は置いてきた牛への断腸の思いと米作りや野菜、果物など物づくりのできなくなった我が大地への思いでノイローゼになる人が多く、自殺者も出たという。被曝のリスクを負いながら牛の命を守るために餌をやり続ける吉澤さんの必死の訴えに釘付けとなり衝撃を受けた。

ウラン鉱山では採掘労働者だけでなくウラン鉱滓、精錬廃液などの放射性廃棄物による環境汚染で周辺の住民は、がん、白血病などに苦しみ、子どもたちには先天性障害が多発している。

核兵器や核燃料用ウランの濃縮過程で出る放射性廃棄物=劣化ウランの一部は劣化ウラン弾として湾岸戦争以来、バルカン紛争、ソマリア攻撃、イラク戦争などで大量に使用され、放射能による広範な環境汚染と人体への深刻な影響をもたらしてきた。

核の利用が、軍事利用であれ、商業利用であれ、深刻な放射能被害をもたらし、地球を破滅に向かわせるものであることは、引き起こされている現実が明らかにしている。

私たちは、インドのウラン鉱山採掘現場、劣化ウラン弾を撃ち込まれたイラクの現場、ネバダ核実験場の風下住民の現場や南太平洋の島々と世界各地の核実験場の現場、そして原発大事故により失われたチェルノヴィリ、福島の人々がその生命、健康、生活、自然環境を破壊された状況を現場検証し調査してきた。こうした悲劇の被害者は無防備で弱者の立場にある。いつもそこに見られるのは、一握りの権力者、資本の利益のためにいわれもなく理不尽に踏みにじられる民衆の犠牲である。彼ら権力者の利己的な行動を許せません。

核兵器も、劣化ウラン兵器も原発も人間の生きる権利を根底から破壊してきた。核利用の過程で不可避的に出る放射性廃棄物、特に原発の使用済み核燃料やその再処理で出る高レベル放射性廃棄物は、処分方法も廃棄場所も全く見通しのつかない状態で人類の未来を脅かしています。日本政府は六ケ所村の使用済み核燃料再処理の稼働を始めようとしており、北海道に押し付けようとしている廃棄場の目処も立っていない。

核燃料サイクルを存続させるとプルトニウムが生産され、核兵器の自国保有への懸念も残すことになる。

日本国政府は福島原発事故から何も学習していない。それどころか情報を隠蔽し、被害を矮小化しています。それによって被害者支援を打ち止めにしようとすると同時に、原発推進政策のもと原発再稼働を進めさらに原発の海外輸出もチャンスを狙っている。我々は日本をはじめほかのいかなる国による原発およびその他核施設の建設,運営、輸出に断固と反対します。

核の惨事を完全に予防することは不可能です。放射能汚染は永遠に続きます。汚染された環境を元に戻すことは不可能です。人類は核エネルギーの利用を完全に放棄しなければなりません。

私たちは、広島、長崎被爆70周年の2015年に、核利用がもたらした非人間的な核災害の原点・ヒロシマで「核と人類は共存できない」という核絶対否定の理念を掲げ、核兵器を廃絶し核利用を根絶するために世界核被害者フォーラムを開催した。3度目の核兵器使用・核戦争を食い止め、核兵器廃絶のためのもっとも近道である核兵器禁止条約を求めます。

世界核被害者フォーラムでは、表裏一体で進められる核の軍事利用と商業利用の核サイクルの過程で生じる放射線被害のさまざまな実態を明らかにし、被害者の救済を図る補償の国際的規範と体制を国際的連帯のもとにつくりたいと思います。

また、世界のヒバクシャが連携し、核被害をこれ以上ふやさないため、核被害情報センターを設置し、核利用サイクルを断つための国際的ネットワークを作る基礎を固める場とします。被爆75年を期してこの核被害者フォーラムの報告記録集を出版し全国の大学図書館、公立図書館などに配布した。これからの未来を担う人々に実態を知っていただきたい。

フォーラムの宣言として、ヒロシマから「世界放射線被害者人権憲章」を世界に発し、国連人権委員会、国際赤十字、国際NGOなど国際社会への働きかけをしていきます。

世界のヒバクシャは核被害の根絶のために連帯しましょう。

「核兵器禁止条約」が今後もっと実態に即した内容になるため、世界の核被害者が核兵器の被害者だけでなく、核利用サイクルによってもっと深刻化し人類の存続が危うくなることを訴えていこう。

ヒロシマから世界へ  届けよう核被害者の声を!

2021年1月22日

核兵器廃絶をめざすヒロシマの会
核兵器禁止条約ヒロシマ共同行動参加者一同

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