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声明:核兵器廃絶への更なる努力を NPT再検討会議の決裂を越えて
土曜日, 6月 4th, 2005 5月2日からニューヨークの国連本部で開かれていた核拡散防止条約(NPT)再検討会議は27日夕(日本時間28日朝)、実質的な成果のある文書を取りまとめられないまま閉幕した。2000年の会議では、「核兵器廃絶への明確な約束」など13項目の核軍縮合意を盛り込んだ最終文書を採択しており、それと比べると核兵器廃絶から大きく後退した結果となり、私たちも、その場に代表団を送り、核兵器廃絶への道筋をたててほしいと働きかけていただけに、無念としか言いようがない。
被爆60年に開催されたNPT再検討会議が、このような形で閉幕してしまったことに、強い憤りを覚えるとともに、心から悲しい思いでいっぱいである。人類は、「ヒロシマを考え」、あの原爆地獄から本当の教訓を学び、核兵器のない平和な地球社会の構築にいつ成功するのだろうかと暗澹たる思いを抱かざるをえない。広島・長崎で被爆した人々は、一刻も早い核兵器廃絶を求めて、一日千秋の想いで、朗報を待っていたはずだが、その想いを裏切られたことは本当に残念である。
本格的な検討は別の機会に譲るとして、問題点を記憶にとどめるために、簡単に整理しておきたい。5月23日、各委員会の最終文書草案の骨子は以下の通りである。
第1委員会【核軍縮】
・新型核の研究開発の断念を核保有国に要請
・核実験全面禁止条約(以下、CTBT)の早期発効に向けた努力を歓迎
・CTBT発効までの核実験中止(モラトリアム)継続を要請
・核軍縮推進に向け、軍縮会議に特別委の早期設置を約束
第2委員会【核不拡散】
・追加議定書の普遍化の重要性を認識
・インド、イスラエル、パキスタンの加盟促進
・「核の闇市場」に深い懸念を表明
・核拡散防止は、対話による解決を目指す
第3委員会【原子力平和利用】
・ウラン濃縮、核燃料再処理を断念した国に対する核燃料の供給保障を国際原子力機関(IAEA)で検討するよう要請
第1委員会(核軍縮)では、CTBTの早期発効努力を歓迎する、新型核研究開発の放棄要請などの草案に米国が強く反発し、合意に至らなかった。NPT脱退問題では、脱退した国に対して原子力資材や機材の返還を義務づける案に、途上国が反発した。第3委員会(原子力の平和利用)は、95年の再検討会議で採択された声明で「平和目的の核施設への攻撃や威嚇は国際法上の懸念」と指摘していることなどを、イランが改めて確認するよう再三、強調したが、米国は結局、イランの意向に反対し続けた。日本の再処理が2005年中に始まることへの追及はない中での、ダブルスタンダードの問題性が浮かびあがっている。
直接的には、エジプトなどの一部中東諸国がイスラエルの核問題の解決を優先したことが原因との見方があるが、核軍縮に向けた措置をめぐって強硬な反対姿勢を貫いた核保有国=米国にほとんどの責任があることは明白である。2001年9月11日のアメリカ東部でのできごとを契機としたアメリカ政府のかたくなな姿勢は、結果として力対力の悪循環を導くだけであることを悟るべきである。
これでNPT体制の根本的な見直しや核不拡散をめぐる新たな枠組み構築を求める声が強まりそうだとの見解もあるが、国家間の関係が変わらない中では、同じ問題を抱えている。問題は、組織のあり方ではなく、NGO,自治体などが、自国の政策を変えていける力関係を構築することが最も重要である。
今後、米国はNPTの見直しよりも、独自の核不拡散対策を強化する可能性が高い。ブッシュ米政権はもともと、現行の国際法や取り決めでは核や大量破壊兵器の拡散防止の効果はないと見ていた。そのため03年、航空機や船舶などへの監視を強化し、積み荷を押収する大量破壊兵器の「拡散防止構想」(PSI)を提唱し、現在、米、英、日本など15カ国が運営主体となっている。今後、アメリカは、PSI強化など有志連合方式を一層重視していく可能性が高い。
NPTは00年の再検討会議で、核兵器廃絶への「明確な約束」やCTBTの早期発効など核軍縮に向けた13項目を明記した最終文書を採択したが、その到達点は、死んだわけではない。むしろ、このような事態を迎えて、改めて、その価値が高まっていると言うべきである。
そもそもNPTは核兵器の保有をアメリカなど5カ国にだけ認めたうえで、5カ国は核軍縮を進め、非核保有国は原子力の平和利用の権利を持つという「三つの取引」の均衡で成り立つ極めて危うい枠組みである。核保有国と非核保有国との対立は長年続いており、今回のことはその一コマであると見るしかない。
ただ核兵器保有5カ国が、核軍縮の取り組みをまとめた共同声明が準備されていたと言われており、これは、44項目、10ページに及ぶ長文の文書だと報道されている。NPTの役割の再認識、核実験のモラトリアムなどに加えて、NPT脱退と核兵器保有を宣言した北朝鮮に対し、NPTや6カ国協議への早期復帰を促す内容を盛り込んでいたと言うが、この公開を求めたい。
1945年8月、広島・長崎への無差別攻撃で始まった核文明は、今なおそのグロテスクな姿を保ったままである。特に米国は、CTBTへの批准を拒否し続け、使用可能な超小型の核兵器開発を公言し、NPTからの脱退さえちらつかせている。2005年NPT再検討会議は、現存の国際環境の中で、核軍縮をめぐる問題点を明らかにし、かつ核兵器廃絶のための歴史的な契機にする場として、機能しなかったとは言え、広島・長崎を初めとした世界中の市民が、あくまでも一刻も早い核兵器の廃絶を求めていることに、何の変化もない。そこで、改めて各国政府に以下の点の実現に向けて尽力されるよう要請する。
1. すべてのNPT締約国が、第6条の下で誓約している核軍縮につながるよう、核兵器国は保有核兵器の完全廃棄を達成するよう明確な約束を履行すること。
2. 各国はCTBTの早期発効を達成するために、遅滞なく、無条件に、批准すること。
3. CTBTが発効するまでの、核兵器の爆発実験またはその他のあらゆる核実験を停止すること。
4. 核軍縮、核実験と小型核兵器の研究の禁止、その他の軍備管理と削減措置に適用されるべき、不可逆性の原則を順守すること。また核軍備競争の逆行を助長するミサイル防衛(MD)計画を取りやめること。
5. 核兵器能力について、また、第6条にもとづく合意事項の履行について、核軍縮のさらなる前進を支えるための自発的な信頼醸成措置として、核兵器国が透明性を増大させること。
6. 一方的な発議にもとづいて、また、核軍備削減と軍縮過程の重要な一部分として、非戦略核兵器をさらに削減すること。
7. 核兵器国、および核兵器依存国は、自国の安全保障政策における核兵器の役割を撤廃すること。
8. 全ての核兵器保有国による核軍縮会議の早期開催について、検証制度の技術的会議を先行させ、非戦略核を優先させるなども含めて、実現に努力すること。
9. 全面かつ完全な軍縮が世界人民の究極的な理念であることを再認識し、戦力を放棄した日本の平和憲法を普遍化する積極的な努力を行うこと。
10 1996年7月8日の国際司法裁判所(ICJ)の勧告的意見を想起しつつ、NPT第6条義務の履行について定期報告をおこなうこと。
11. 第3者機関による、アフガニスタン、コソボ、イラクで使用された放射能兵器(劣化ウラン弾)の被害調査を十分に行い、その使用を禁止する方向で最大限の努力をすること。
広島・長崎の被爆者は、もう待ちきれないという想いに駆られている。核保有国は核兵器廃絶に向けて、どのような道筋をつけるのかを明らかにしていただきたい。私たちは、被爆地・広島の市民・被爆者として、世界のNGO、そして自治体との連携を強め、その力で自国の核政策を変えていくとともに国際的な枠組みを早急に形成すべく全力を傾注する所存である。
2005年6月1日
核兵器廃絶をめざすヒロシマの会
共同代表 岡本三夫・河合護郎・森瀧春子
〒730-0012広島市中区上八丁堀8-23林業ビル4F
広島県生活協同組合連合会気付
E-mail kenren.h@proof.ocn.ne.jp
ホームページ https://www.e-hanwa.org/
ご報告:HANWA NPT派遣団
土曜日, 5月 28th, 2005ニューヨークで核兵器廃絶を訴える
NYタイムズ意見広告、NPTへの反核平和使節団が活用
日本では、ゴールデンウイークで海外出国組が多い時期、「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」(Hiroshima Alliance for Nuclear Weapons Abolition:以下、HANWA)は、ニューヨークに渡り、核兵器廃絶をめぐる国際的な攻防の場である5年に1回開催されるNPT核不拡散条約の再検討会議に働きかけるという取り組みを行ないました。被爆者で70歳代半ばの空さんから中学2年生まで、被爆二世2名、大学院生2名など幅広い年齢層のメンバー18人が基本的に自腹で参加しました。
NPT条約は、発効した1970年に核兵器を保有していた5つの国は、核兵器保有国として容認される一方で、それ以外の国は核兵器を持つことはできないとする極めて差別的な条約です。しかし、その前文と6条には、核兵器国が、自ら保有する核兵器を減らしていかねばならないとする条項も含まれており、条約の限界と矛盾を知ったうえで、この場を国際的な攻防の場にすることが重要です。特に、2000年のNPT再検討会議では、アメリカなど核保有国の保有核兵器の明確な約束が取り付けられ、21世紀の早い段階での核兵器の廃絶が見込まれていました。しかるに、アメリカ政府は、今年の第7回NPT再検討会議において、Sep.11のできごとを機に、世界の情勢は大きく変化し、2000年の約束に拘束されるものではないとの見解で押し通そうとしています。そこで、私たちHANWAは、その攻防の場に加わり、少しでも状況を変えていく側に立とうとしたわけです。
4月29日、朝9時、広島駅での出発式を経て、成田経由でニューヨークに着いたのは、現地時間で29日の19時でした。空港には日本からのマスコミが待ちかまえていました。というのは、被団協の皆さんがこの飛行機に同乗していたためですが、もう一つ、この日のニューヨークタイムズに核兵器の廃絶を求める広島・長崎からの意見広告が掲載されたことがありました。私たちは、早速、空港のロビーで、ニューヨークタイムズを購入し、意見広告の紙面を感慨深く見ることになりましたが、その様子をマスコミが取材してました。
意見広告は、広島・長崎の、そして日本各地の市民の力を少しずつでも出し合って、世界からニューヨークに集まる政府代表、NGO,そして何よりもアメリカ市民に広島からの声を届ける手段にしようというものです。意見広告は、掲載されただけであれば、読まない人も多いだろうし、経費がかさむ割にあまり効果は見込めない。私たちも一般論としては、そう言う側面があることは承知していました。が今回は違うという想いがありました。日本から相当数の参加者がいても、言葉の壁の前で、何もしないで帰ってくる人は、かなりいるのではないか。一人一人が、なにがしかのことをするためにも英文で訴える道具が必要で、その面で意見広告は有効です。これを見せて、広島から来たと言うだけでも、何がしかのインパクトはあるはずです。HANWAも含めて広島から行くメンバー100人が、これを持って配る道具として使えば、大きな反響があるのではないかと考えました。
当初は、カンパ500万円ほどを集めねばならないのに、NPTのわかりにくさ、一般性のなさを考えると、お金が集まらないのではないかとの消極的な意見もかなりありました。しかし、発想に共鳴してくれる人は必ずいるはずとの信念で、とにかく始めたところ、広島・長崎を初め、全国の皆さんから熱い想いの下でカンパが集まり、何とか実現にこぎつけることができました。
しかし、4月初めまで、なかなか軌道に乗りませんでした。4月9日、街宣の場で、意見広告の中身をほぼ確定した紙面を公表すると言うことで呼びかけたところ、マスコミが殺到しました。少なくとも広島県内ではかなりの報道がされ、更に17日にはヒロシマ平和テント村を開催し、繁華街の一角で終日、意見広告を訴えました。平和テント村には、ヒロシマ平和文化センターもテントを一梁だし、市民運動のメンバーと一緒に過ごし、平和市長会議が提唱する2020ビジョンを宣伝しました。ここでは、NPT再検討会議でニューヨークに行くメンバーが一堂に会する形で、ステージでのアピールを行いました。マスコミの扱いが大きくなるにつれ、その記事や紙面案を資料に入れて働きかけることで、そこそこの賛同をえられるようになっていったわけです。こうして、とにかく4月末の週に掲載されるところまでこぎつけました。その記事が、幸運にも、丁度、私たちがニューヨークに到着する日に掲載されたというわけです。
5月1日、NPT会議の開会を目前にしてのアボリッシヨン・ナウなどが主催する国際的なラリーと集会が行われました。世界中のNGOが一同にかいして、広い道路を全部使っての迫力あるデモに、私たちも4枚の横断幕を拡げながら参加しました。広島から来たことがはっきりわかる横断幕で、結構迫力があり、多くのカメラが写していました。主催者発表4万人、私たちの感じでは2万人近くはいたと思います。約2時間にわたる長いデモの後、セントラルパークに到着。ピースマークをヘリで空から写すと言うことで、その枠に沿って並みました。平和市長会議から広島・長崎市長、被爆者として坪井さん、下平さん、各国のNGOなどのアピールや音楽演奏が続きました。この間に、私たちは、広島から来たと言いながら、2000枚の意見広告の実物大チラシ、NODU縮刷版600部を会場で撒きました。とても反響があり、「Great!」と言って掲載新聞の現物をみせてくれた人や、バッチをくれたりで、とても効果的でした。まだ集約できていませんが、この場では18人全員がそれぞれ別の体験をしたと思われます。
3日は、平和市長会議のメイン集会が国連近くのジャパン・ソサイテイであり、メンバーの数人が終日それに参加しました。ここでも、意見広告、基本文書,参加者のアピールなどをセットにしたもの150部を配布しました。平和市長会議に来た世界からの自治体の首長のほぼ全員に意見広告が渡ったことは大きな意義がありました。
さらに、意見広告のコピーは、他のアピール・資料などと合わせて、核保有国、新アジェンダ連合などを含め、100カ国近くの国の国連代表部に届けられました。
5月4日には、国連内部の会議室にて、ワークショップ「“ヒバク”再考?ヒロシマ・ナガサキからイラクまで」をHANWAとNO DU (劣化ウラン弾禁止)ヒロシマ・プロジェクトの共催で開きましたが、こうしたワークショップなどの場でも、意見広告のコピーなどを配布しましたが、きわめて好評でした。ワークショップのゲスト・スピーカーの一人、ヘレン・カルディコット博士に、「意見広告はご覧になりましたか」と尋ねてみると、「勿論。とても素晴らしい。指摘は全て正しい」との答えが返ってきました。
さらに、意見広告のコピーは、他のアピール・資料などと合わせて、核保有国、新アジェンダ連合などを含め、100カ国近くの国の国連代表部に届けられました。
またNGOが発行している5月2日発行の「News in Review/第一号」デジタル版のトップ記事として「ヒロシマからのアピール」、「意見広告紙面」、「ワークショップのお知らせ」などが掲載されました。「News in Review」は、プリントアウト版が毎日500部が発行され、NPTに参加している各国代表部などに配られる他、デジタル版が世界各地のメールニュース購読者に配信されています。これも、意見広告が、多くの関係者の意識に触れる機会を創ったと思われます。(なお、「News in Review」は、前回までのNPT再検討会議で発行されたものも含めて全てが、発行団体である ReachingCriticalWill のホームページにアップされています。
http://www.reachingcriticalwill.org/legal/npt/nirindex.html
以上、不十分性はあったにしろ、意見広告を一つの道具として、1週間の期間にそれ相当の動きをつくれたと思います。これは、ひとえにカンパにご協力いただいた皆さまのおかげです。ここにご報告させていただくと同時に、心からお礼させていただきます。
ただし、現在のカンパ総額は350万円ほどでして、掲載に必要な経費500万円にはまだ達しておらず、もう一息の努力をしているところです。周囲の方に声をかけていただくなど、無理のない範囲でご協力いただければ幸いです。
2005年5月26日
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核兵器廃絶をめざすヒロシマの会
Hiroshima Alliance for Nuclear Weapons Abolition (HANWA)
【共同代表】 岡本三夫 河合護郎 森瀧春子
【事務局】 〒730-0012 広島市中区上八丁堀8-23広島県生協連内
電話082-502-3850 FAX082-502-3860
Eメール info@e-hanwa.org
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郵便振替 「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」01300-2-50889
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NPT派遣団関連ニュースNPT派遣団関連ニュース
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NY、核関連集会盛ん
広島などの市民グループ
![]() |
劣化ウラン弾をテーマに広島の市民グループが開いたワークショップ |
【ニューヨーク5日宮崎智三】米ニューヨークの国連本部で開催中の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に併せ、各国の非政府組織(NGO)が連日、国連ビル内などで核関連の集会を開いている。広島など日本の市民グループも、劣化ウラン弾(DU)やプルトニウム再処理問題などを取り上げ、存在感を示している。
DU問題を考えるワークショップ(研究集会)を四日に主催したのは広島の団体「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」と「NO DU ヒロシマ・プロジェクト」。米国や欧州のNGOメンバーたち約五十人が参加し、米軍がイラクで使ったDUが原因とみられる健康被害を、写真や科学者の証言で指摘した。
原爆投下直後に大気中のちりを吸い込むなど、これまで被爆地でも軽視されがちだった体内被曝(ひばく)の問題も取り上げ、意見を交わした。
放射線被害という共通項で原爆とDU問題をつなぐ試み。背景には、核実験や原発事故、DU被害者と、ヒバクシャが拡大する現実がある。同プロジェクトの嘉指信雄代表は「核兵器だけに焦点を限定すれば、現在進行中の放射線被害や汚染を見過ごす」と指摘し、被爆地広島だからこそこの問題を考える役割がある、と訴える。
米国の「憂慮する科学者同盟」が五日開いたプルトニウム再処理問題の集会には、スピーカーの一人として原子力資料情報室(東京都中野区)の伴英幸共同代表が招かれ、日本が青森県六ケ所村で進める商業用の再処理計画と核拡散の恐れも議題に上った。
国連ビル内ではほぼ毎日、これらNGO集会が三~五カ所で開かれ、日本のメンバーたちも積極的に出席して意見を表明。政府代表による演説だけが被爆国の主張ではないことをアピールする機会にもなっている。
(2005.5.6)
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中国新聞2005年5月2日
テロ遺族と交流 米で被爆者ら | ’05/5/2 |
![]() 【ニューヨーク1日宮崎智三】国連本部で二日午前(現地時間)に開幕する核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向け、ニューヨークに滞在中の広島の被爆者や市民グループは四月三十日、地元平和団体との交流や街頭署名などの活動を本格化した。 核兵器廃絶をめざすヒロシマの会などの約四十五人は、米中枢同時テロ犠牲者の遺族でつくる「ピースフル・トゥモロウズ」などと交流会を開いた。テロで夫を亡くしたアンドレア・ルブランさんら米国側の三人が、核兵器や戦争のない世界をめざす思いを語った。 空フミ子さん(75)=広島市南区=は原爆で左目を失った体験を証言。会合後、「市民が犠牲になるのは原爆もテロも同じ。核兵器にも戦争にもノーという被爆者の思いは伝わったと思う」と話していた。 広島県原水協の約三十人は雨の中、繁華街のマディソン・スクエア・ガーデン周辺で核兵器廃絶を求める署名活動をした。「握手を求めてくる人がいて反応は予想以上」と松本真事務局長。午後はエジプトの国連大使や米国の平和活動家による集会に出席し、「米国が核軍縮に背を向け、再検討会議の見通しは厳しい」「打開には国際世論の盛り上げが不可欠だ」などの意見に耳を傾けた。 秋葉忠利広島市長もこの日、ニューヨーク入りした。非政府組織(NGO)などの核軍縮ネットワーク「中堅国家構想」の会合で発言し、自らが会長を務める平和市長会議が提唱している、二〇二〇年までの核兵器廃絶を目指す緊急行動(2020ビジョン)への支持を呼びかけた。 【写真説明】テロ遺族のルブランさん(左側中央)たちに被爆体験を証言する空さん(右) |
APPEAL OF HIROSHIMA PEACE DELEGATION TO NPT REV.CON
火曜日, 4月 12th, 2005 APPEAL OF HIROSHIMA PEACE DELEGATION TO
NPT REVIEW CONCONFERENCE
―COMMEMORATING THE 60TH ANNIVERSARY OF THE BOMBING―
The Hiroshima Alliance for Nuclear Weapons Abolition (HANWA)
Presidents: Goro Kawai, Haruko Moritaki, Mitsuo Okamoto
c/o Allied Hiroshima Coop, 8-23-4 Hacchoubori, Naka-ku, Hiroshima 730-0012
E-mail kenren.h@proof.ocn.ne.jp URL http://e-hanwa.org/
April~May, 2005
Hiroshima and Nagasaki will commemorate the 60th Anniversary of the Atomic Bombing on August 6th this year. When the late Pope John Paul II visited Hiroshima in 1981, he said: “To think about Hiroshima is to deny a nuclear war”. Has humanity thought seriously about Hiroshima, learned a real lesson from the Atomic Inferno, and succeeded in building a peaceful global society without nuclear weapons? Unfortunately, the answer is NO. On the contrary, the United States and the Soviet Union, joined by other big powers, took part in the nuclear arms race accumulating more than 69,000 nuclear warheads by 1986. True, the nuclear arms race has subsided since the end of the Cold War, and the total number of nuclear warheads has decreased, yet the Green Earth is still surrounded by more than 30,000 nuclear warheads as of early summer 2005.
In addition, since the 9/11 incident the Bush administration has become ever more dependent on nuclear weapons under the pretext of “war on terror” and has started developing usable mini-nukes such as earth-penetrating bunker-busters. As if to underscore such a project, they have made an open unhesitating declaration to resume nuclear experiments, which have ceased since 1992. The US Senate’s refusal to ratify the Comprehensive Test Ban Treaty (CTBT) and the one-sided American abrogation of the ABM Treaty with Russia clearly shows the Bush administration’s posture of heavily relying on nuclear weapons. This all contradicts the ground swell of history toward the abolition of nuclear weapons.
Another grave concern of ours is the militarization of space, i.e. taking up once more the Strategic Defense Initiative originally proposed by President Reagan. This project is a sheer hallucination, and it was once pronounced dead, but the Bush administration is resuscitating the ghost. The project has nothing to do with the peace and security of the world, or even that of the American people. Although it may bring even greater profits to the US weapons industries, it will be worse than useless for Americans and world citizens. Moreover, as the weaponization of space involves the use of plutonium, a single accident may cause irreparable disaster for all life on earth.
Also, according to Iraqi medical doctors who visited Hiroshima a few times before the Iraq War serious health problems are bedeviling a great number of people in Iraq (and in former Yugoslavia) as the possible result of the use of depleted uranium (DU) weapons. In these areas where chemically poisonous and radioactive DU weapons were used by American and British troops, macabre diseases have been spreading, and particularly among children, there are countless cases of leukemia and cancers. At the same time, it is possible that exposure to the radioactive pollution caused by weapons made from depleted uranium may have caused serious health hazards suffered by the American and European soldiers alike who took part in military operations in these areas, and serious abnormalities in some of their children.
Certainly, we cannot tolerate terrorism of any kind. In particular, we would like to express our heartfelt condolences to the victims and the bereaved of the 9/11 terrorist attacks. As citizens of Hiroshima we are sensitive enough to share the sorrow of the family members who lost their loved ones. At the same time, however, what we would like to share is that terrorism has to be addressed not by military retaliation, but by police and legal institutions reinforced by international solidarity. Violent retaliatory actions solve nothing but rather increase terrorism. In fact, the present situation in Iraq vividly illustrates the point.
The world remembers the humanitarian aid by the US at a time when people were suffering from the devastation brought on by WW II. Neither have we forgotten the fair and generous economic policy of the US, which helped Germany and Japan recover from misery and achieve the economic miracle. In contrast, however, we deplore that the unilateral behavior of the Bush administration, ignoring the UN and deriding international law, in the last four and half years has not only increased violence and terrorism in the world but significantly impaired the prestige of the US as the champion of democracy.
We, the hibakusha and citizens of Hiroshima, desire a peaceful world without nuclear weapons, wars, and terrorism. As we are visiting New York city at this occasion of the Review Conference of the Non Proliferation Treaty, we strongly urge that all nuclear weapons states critically reflect on their poor records of implementing the “unequivocal undertaking” of nuclear disarmament agreed upon in 2000. We implore you to reconfirm the commitment to make every effort to accomplish substantial nuclear disarmament by the Review Conference of the NPT in 2010.
We dare to say that the policy of nuclear deterrence is nothing but “state terrorism” with the weapons of the devil and Hiroshima cannot accept this evil of “state terrorism”. It would be impossible to prevent the appearance of new nuclear weapon states and to maintain the NPT regime as long as a group of specific states claim the legitimacy of keeping nuclear weapons in a world where nations, big or small, ought to be treated equally under international law. Are these “privileged” nations who advocate the evil of “state terrorism” qualified to criticize the evil of the terrorists? We cannot accept the US proposal to undermine the NPT agreement by means of its “nuclear review posture” under the pretext of “war on terror.” Such an act violates the disarmament obligation stipulated in Article VI of the Non Proliferation Treaty.
The only way to avoid a nuclear catastrophe is to pay proper respect to worldwide law and order enshrined in the UN Charter through which gradual and complete nuclear disarmament may eventually be accomplished. The NPT serves only as the first step, but it is nevertheless the only international treaty on nuclear weapons and has to be respected as such. The international society, therefore, has the responsibility to implement concrete measures aimed at accomplishing the following objectives: 1) gaining greater international respect for the NPT; 2) treating all nations equally, with none privileged and none discriminated against; 3) the prohibition of pre-emptive nuclear strikes; 4) a halt to the development, experiment, and production of nuclear weapons; 5) reinforcement of the NPT agreement by ratifying the Comprehensive Test Ban Treaty; and 6) taking all nuclear warheads off hair trigger alert
We, the hibakusha and citizens of Hiroshima, come to the UN at this 60th year since the Atomic Bombing. We urgently demand with “a burning spirit of Hiroshima” that the US and other nuclear weapon states promote more effective moves toward nuclear disarmament, realize a total and complete nuclear disarmament in the early years of the 21st century, and make utmost efforts to prepare a truly peaceful world free of nuclear weapons, free of wars, and free of terrorism.
The members of the delegation:
Mr. Shuichi Adachi (Attorney), Mr. Suguru Fujiwara (Pharmacist), Ms. Yukuko Fujiwara (Teacher, School for Challenged Children), Ms. Haruka Katarao (Graduate Student), Ms. Kuniyo Kawabata(YWCA Officer), Mr. Nobuo Kazashi (Ph.D., Professor), Ms. Haruko Moritaki (Peace Advocate), Mr. Mitsuo Okamoto (Ph.D., Professor Emeritus), Ms. Kazuko Koyama (Interpreter), Ms. Tomoko Koyama (Junior Highschool Student), Ms. Yoshie Ozaki (Volunteer Interpreter), Ms. Fumiko Sora (Hibakusha), Mr. Takayuki Sasaki (Graduate Student), Ms. Miwako Sawada (Company Executive & Interpreter), Mr. Osamu Shinohara (Professor), Mr. Toshiyuki Tanaka (Ph.D., Professor), Mr. Katsumi Toshimoto (Corporate Officer), Mr. Ichiro Yuasa (Ph.D., Scientist).
被爆60年ヒロシマ平和テント村
火曜日, 4月 12th, 2005被爆60年ヒロシマ平和テント村
■日時/4月17日(日)
10:00~16:00
■場所/アリスガーデン
広島市中区/電停「八丁堀」下車/パルコ南
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<被爆60年ヒロシマ平和テント村の目的>
1.原爆と戦争に命・人生を奪われた人々、今も苦し
む人々を想い起こすこと。
2.5月NPT(核拡散防止条約)再検討会議(ニュー
ヨーク)に参加する人たちを応援すること。
3.被爆60年=不戦60年の8.6広島-8.9長崎を市
民的なうねりで盛り上げること。
4.被爆の実相を次世代(若者・子ども)に継承させ
ること。
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◆ステージの部
<音楽家>
新屋まり
FAR EAST LOUNGE(三代目春駒小林一彦)
三宅典子
渡辺朝香 他
被爆者・被爆2世・青年・子どもからの
メッセージ
ニューヨークに行く個人・団体が一同に集合!
◆テントの部
ヒロシマから世界へ!テント
●ニューヨーク・タイムズ意見広告のコーナー、
反核署名
●DU〈劣化ウラン弾〉禁止国際キャンペーン
署名コーナー
●原爆投下を裁く国際民衆法廷・広島実行委員会
映像のテント
●ヒロシマ平和映画祭~「戦争」「平和」映像60年
の祭典!
7/30,31プレイベント、11/3~13本祭の予告編上映!
●世界社会フォーラム
記録ビデオ上映
●沖縄・辺野古のちゅら海を守ろう
記録ビデオ上映
「平和の虹」テント
-小さな愛と命のかけ橋-
●生協・ユニセフ活動グループ
パネル、ビデオ、カード
●原爆の絵を街角に返す会
コットンケーキ・ピース(平和の綿がし)づくり
原爆の絵碑、パネル、Tシャツ
●「平和・護憲」大道芸
ヒロシマのテント
●平和市長会議
●(財)広島平和文化センター
「国際法を守る壁キャンペーン」
小さな平和づくりテント
●被爆60年青年実行委員会・NPTチーム
●ピースキャンドルを作ろう
●平和ハガキづくり
アートのテント
●岡部昌生・フロッタージュ
●広島芸術専門学校生による作品展示
(代表:宮谷 彰)
●1円玉アート
ギネスブックレコード260万枚をめざそう!
7月下旬集約
<使い道>
審査委員によるコンテストの奨励金
■18歳以下の子ども対象の
「私にもできる平和をつくる表現」
音楽、詩・文章、美術、映像、劇・パフォーマンス・・・
(5万円×20組)
■1円玉アートのデザイン(人とメッセージ)
(5万円×5組)
⇒8.6に発表
料理屋台のテント
●チベットのギョーザ
●韓国のお茶
●ベトナムの春巻き
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<主催>
被爆60年ヒロシマ平和テント村実行委員会
(代表 木下克己)
<よびかけ>
核兵器廃絶をめざすヒロシマの会
Hiroshima Alliance for Nuclear Weapons Abolition
(HANWA)
【共同代表】
岡本三夫 河合護郎 森瀧春子
【事務局】
〒730-0012
広島市中区上八丁堀8-23広島県生協連内
FAX 082-502-3860
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News Letter No.3
土曜日, 3月 19th, 20052005「核軍縮;日本の成績表」広島評価会議
土曜日, 3月 12th, 20055年に1回のNPT再検討会議まで、1ヶ月半ほどになりました。被爆60年の年に開催される会議を、何とか核兵器廃絶への大きな飛躍の場にさせねばなりません。その場で、被爆国としての日本政府がとる姿勢は、大きな影響力を持っています。
そこで、2000年のNPT再検討会議において約束され、段階的にチェックしていくこととなった13項目について、日本政府の努力の有り様を、評価し、少しでも前進させようと始まったのが、評価委員会による作業でした。今年は、その最終段階になります。日本政府の努力を正確に評価し、市民の思いを政府に届け、ニユーヨークでの会議において最大限の活躍を託すために、下記の要領で広島での評価会議を開催いたします。是非とも参加していただきますようご案内致します。
とき:3月14日(月)
午後6時30分から8時30分
ところ:アステールプラザ 大会議室B
問題提起
平岡 敬 評価委員(元広島市長)
補足説明
梅林宏道 評価委員(ピースデポ)
森滝春子 評価委員(兵器廃絶をめざすヒロシマの会)
質疑討論
主催:「核軍縮;日本の成績表」評価委員会
核兵器廃絶をめざすヒロシマの会(HANWA)
連絡先:核兵器廃絶をめざすヒロシマの会
【共同代表】 岡本三夫 河合護郎 森瀧春子
【事務局】〒730-0012 広島市中区上八丁堀8-23広島県生協連内
電話082-502-3850 FAX082-502-3860 Eメール info@e-hanwa.org
熊本市小学校での「被爆者の写真」による「肝試し」についての声明
日曜日, 10月 31st, 2004既報のように、熊本市の小学校で教諭が、小学校4年生の児童に対し、課外授業の時間に原爆被爆の写真パネルを使って、「肝試し」をしていた事実が明らかになりました。
「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」として、これが決して特異な問題ではなく、現在の日本の教育現場の実態、平和教育、人権教育が教育の場から消えていっている現状への警鐘として大な問題性があるということから、下記のように声明を出しました。
この声明を熊本市教育委員会、市教委を通じて当該学校、熊本県教育委員会、政府文部科学省、広島県教育委員会、広島市教育委員会、熊本県報道機関、などに送付しました。熊本県の報道機関からの反応にちょっと安堵しています。
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熊本市小学校での「被爆者の写真」による「肝試し」についての声明
核兵器廃絶をめざすヒロシマの会
私たちは、広島の地において、59年前の被爆体験を固く心に刻みながら核兵器廃絶と恒久平和を切望して、全力を注いで生きている市民のグループです。昨日、熊本市内の市立小学校で、校内の天体観測会「月と星の観察会」で「肝試しをしよう」と、教諭が児童にケロイドのある原爆被爆者の写真を見せていて、校長らが謝罪していたという記事を見て、原爆被害者の写真パネルを、「教育者」が教育現場で「肝試し」に使うという事態の発生に深い悲しみと憤りを禁じることができません。
当該教諭や学校、統轄教育行政機関に強く抗議します。
広島や長崎への原爆投下によってひき起こされた数十万の人々の死、59年にわたる後障害による苦しみを体験したヒロシマ・ナガサキは、この事態を看過することはできません。
この事件は、多くの被爆者に、被爆後体験させられたケロイドなど後障害への心無い差別などから舐めた辛酸をを生々しく思い出させ、遺族には面影も残さず高熱に焼き殺されていった肉親への無念の思いを新たに抱かせる許されないものです。
核戦争がもたらしたこの上ない非人間的悲惨の体験から、ヒロシマ・ナガサキは、苦しみや憎しみを乗り越えて被爆体験を世界に伝え、核兵器廃絶のために努力してきました。
被爆者を中心とするそのような努力が教育の場で根底から覆されるような、非人間的な「教育」が繰り返されてはなりません。
命の重みや平和の大切さを教えるべき教育の場であってはならないことが起こってしまった今回のことは、単なる特異な事件としてではなく、学校教育の現在のありようが深刻な状況にあることへの警鐘と思わざるを得ません。学校現場から平和教育、人権教育が追いやられていっている実態があります。
平和教育、人権教育が教育の根底におかれ実践されていたら、このような事件は起こりえないことだと信じます。熊本市で生じた、人間教育の場に許されない事件を告発するとともに、再発を招くことの無いよう教育現場および教育行政機関が、被爆体験の継承にもとずく核兵器廃絶と恒久平和を実現する平和への意志を培う人間教育に力を入れられるよう、あらためて強く要請するものです。
2004年10月27日
核兵器廃絶をめざすヒロシマの会
共同代表 岡本 三夫 河合 護郎 森滝春子
連絡先 〒730-0012 広島市中区上八丁堀8-23 広島県生協連合気付け
Tel 082-502-3850 Fax 082-502-3860
[劣化]ウラン兵器禁止を求める国際行動デーヒロシマ集会
日曜日, 10月 24th, 2004笑いで撃つ!戦争に傾斜する日本
―マッド・アマノさんを迎えて―
日時:11月7日(日)午後4時~6時半
場所:広島平和記念資料館地下会議室1(資料代:700円)
共催:NO DU(劣化ウラン弾禁止)ヒロシマ・プロジェクト
核兵器廃絶をめざすヒロシマの会
(財)広島平和文化センター
連絡先:090-9064-4705/森瀧
(表)
(裏)
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Dear Members of September 11th Families for Peaceful Tomorrows!ピースフル・トゥマローズへの手紙
火曜日, 9月 7th, 2004 9・11事件から3年目を向かえ、核兵器廃絶をめざすヒロシマの会(HANWA)では、9・11遺族の会「平和な明日のための9・11家族の会」(通称 ピースフル・トゥモローズ)に連帯のメッセージを送りました。
それに応えて、ピースフル・トゥモローズから「04・9・11ピースフルトゥモローズ声明」が送られてきました。
9・11以後、3年目を迎えた現在、世界はますます危険な道をたどっているように思われます。
「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」は、9・11の惨事によって結成された遺族の会「平和な明日のための9・11家族の会」と交流を続けてきました。
2002年4月に、アメリカに「ヒロシマ・ナガサキ反核平和使節団」の行脚に出かけた時にWTC跡地で共に追悼式をして交流したり、その後、メンバーのリタ・ラサールさんや、ライアン・アムンソンさんを広島に招聘し、日本各地で交流会を持ったりしてきました。
彼らは、事件後アメリカが、彼ら犠牲者の名前における報復戦争による人殺しを止めさせよう(Not Kill in our names!)と世界各地〈アフガンやイラクにも〉に出かけて活動しています。今日彼らに対する国内での風当たりは強く困難な状況の中にあって、ヒロシマの心に連帯して活動を続けています。
核兵器廃絶をめざすヒロシマの会(HANWA)
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HANWAからの連帯のメッセージ
(執筆・共同代表 岡本三夫)
September 7, 2004
Dear Members of September 11th Families for Peaceful Tomorrows!
We, the members of HANWA, would like to send you our renewed message of empathy and solidarity as the third anniversary of the 9/11 is around the corner. It is almost three years now since the tragedy engulfed you.
Time flies, indeed!
Certainly, such a fateful and sorrowful day cannot be buried in oblivion for any body, but especially for the bereaved family members like you. The chagrin may not disappear for a long time. You must be remembering the days when you searched around your lover, sister, brother, daughter, son, mother, father, cousin, other relatives, friends, etc.
through rubbles at the WTC—-we know some of you have lost your loved one at the Pentagon, too. Most of you must be pondering over the dreary, depressing days of anger, frustration, emptiness, despair, and exhaustion following the disaster.
Your experience resembles what hundreds of thousands of the citizens in Hiroshima and Nagasaki experienced fifty nine years ago. Even after more than half a century they still suffer deep anguish of the sudden loss of their loved ones. Your grief, however, must be far more acute and painful as it was only three years ago.
That you have overcome your despair, and continuously transmitted to the world over your message of peace instead of violence, love instead of hatred, and solidarity instead of vengeance, has not only inspired the citizens of Hiroshima and Nagasaki but also encouraged us significantly in that we can build up our hopes for the future of the world. Your message does correspond to the affirmation here: No More Hiroshima! No More Nagasaki! In this mission of non-violence and peace we feel a powerful spiritual bond between you and us.
During the last three years people in Afghanistan and Iraq had to endure the destruction of war and the ensuing misery. We cannot and should not forget that multitude of them have lost their relatives and friends exactly like you and us. It is the same in Palestine, Afghanistan, Iraq, and most recently in Beslan, Russia.
The world is becoming more dangerous and violent due to the prevailing Weltanschauung, i.e. a philosophy that might is right. To counter violence by violence breeds more violence. It amounts to a vicious circle. The only solution is to address the root causes of violence that are poverty, prejudice, discrimination, inequality, injustice, greed and jingoism. The members of Peaceful Tomorrows and the Hibakusha together with citizens of Hiroshima and Nagasaki have learned this simple truth which they would like to share with others.
Terrorism is rampant all over the world. However, we think war is a state-terror and nuclear war will be the most heinous terror that one can ever think of. The Russell-Einstein Manifesto concludes that war must be abolished, for so long as war exists national leaders cannot resist the temptation to resort to the most powerful weapons of the day, nuclear weapons. This year also, therefore, on August 6th in Hiroshima and on 9th in Nagasaki, people from all over Japan and overseas gathered there together and renewed our pledge of “No More Hiroshima!” and “No More Nagasaki!” and have shared our determination to create the culture of peace and non-violence.
We hear you have been libeled as coward as many Americans today tend to justify violent means to solve conflicts. Do not be discouraged in your endeavor for peace, love, and truth. We are with you and the history will be on your side. For, love conquers all things (Amor omnia vincit)!
With love from Hiroshima
THE HIROSHIMA ALLIANCE FOR NUCEAR WEAPONS ABOLITION (HANWA)
Directors: Ms. Moritaki Haruko, Mr. Kawai Goro, and Dr. Okamoto Mitsuo
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(日本語訳 森滝春子)
2004年9月7日
平和な明日のための9・11家族の会へのメッセージ
私たち「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」のメンバーは、ピースフル・トゥモローズの皆さんが【9・11】三周年忌の追悼を迎えるにあたり、あらためて共感と連帯のメッセージをお送りしたいと思います。あの悲劇があなた方を飲み込んでからもう3年になろうとしています。時間の経つのは、なんと早いことでしょう!
全く、あのような運命的な悲嘆をもたらした日は、誰にとっても忘却の中に埋めることはできないでしょう、とりわけあなた方ご遺族にとっては。
あの無念さは、長く消えることはないでしょう。あなたたちは、世界貿易センターの瓦礫の中で、恋人を、姉妹を、兄弟を、娘を、息子を、母を、父を、いとこを、親戚の人たちや友たちなどを探し回ったあの日々のことを忘れることはないでしょう。あなたたちの中にはペンタゴンでも愛する人を失った人もいます。大惨事の後に続いた、怒りと混乱、空虚、絶望の失意の日々の疲労困憊した侘しさに思いをはせていることでしょう。
あなた方の経験は、59年前にヒロシマやナガサキの数十万の市民たちが経験したことに似通っています。半世紀経った今日でさえ、彼らは愛する者たちを、突然失った深い苦悩に打ちひしがれています。しかしながら、あなた方にとっては、その深い悲しみは、未だ3年しか経っていないが故に、より鋭く苦痛に充ちたものに違いありません。
皆さんが、その絶望を乗り越えて、暴力ではなく平和を、憎しみでなく愛を、報復ではなく連帯を、というあなた方のメッセージを、休むことなく世界中に伝え続けておられることは、ヒロシマ・ナガサキの市民を鼓舞するだけでなく、私たちみんなが世界の未来に対する希望や自信を持てるよう大変励ましてくれています。あなた方のメッセージは、こちらの「ノーモア・ヒロシマ!」「ノーモア・ナガサキ!」の宣言と響き合っています。
非暴力(ノン・バイオレンス)と平和の使命において、私たちはあなたたちとの間に、力強い精神的な繋がりを感じます。
この3年間、アフガニスタンやイラクの人々は、戦争による破壊や苦難に耐えてこなければなりませんでした。彼らの多くもまた、あなた方や私たちと同じように、まさしく愛するものたちを失ってしまったのだということは忘れることはできないし、また忘れてはならないことです。それは、パレスチナ、アフガニスタン、イラクそして最近のロシア・北オセチアでも同じです。
世界は、戦争の文化によって私たちの願いや希望を踏みにじり、より危険で暴力的になりつつあります。暴力による暴力への報復は、よりいっそうの暴力を生み出します。それは危険な循環です。唯一の解決の道は、暴力の根元に焦点を当てること、すなわち、貧困、偏見、差別、不平等、不正義、貪欲、好戦的愛国主義を解決することです。ピースフル・トゥもローズのメンバーやヒバクシャはヒロシマ・ナガサキの市民とともに、彼らが人々と共有すべき紛れのない真実を学んだのです。
テロリズムが世界にはびこっています。しかしながら、私たちは、戦争は国家テロであり、核戦争は考えうる限りの最も極悪なるテロであると考えます。
ラッセル-アインシュタイン声明は、「戦争そのものが根絶されるべきである、というのは、戦争が存在する限り国家指導者たちは、もっとも強力な兵器、核兵器に頼る誘惑に抗しきれないからである」と結論を下しています。それゆえ、今年もまた、8月6日ヒロシマに、そして8月9日ナガサキに、日本各地から、海外から人々が集い、ともに」【ノーモア・ヒロシマ!】、【ノーモア・ナガサキ!】の誓いを新たにするとともに、非暴力と平和の文化を築く決意を共にしました。
紛争を解決する手段として暴力を正当化する方向にむかっている多数のアメリカ人たちが、あなた方を臆病者だと中傷していると聞きました。どうか、平和、愛、そして真実のためのあなた方の真剣な努力を邪魔されませんように。
私たちは、あなた方と共にあり、歴史もまたわれわれの側につくでしょう。何故なら、愛こそがすべてに優るからです。
ヒロシマから愛をこめて
核兵器廃絶をめざすヒロシマの会(HANWA)
共同代表 岡本 三夫 河合 護郎 森瀧 春子