ヒロシマは核兵器禁止条約の発効確定を心から歓迎する
ヒロシマは核兵器禁止条約の発効確定を心から歓迎する
本日(現地時間10月24日)、核兵器禁止条約の発効が確定した。50カ国目の批准国となるホンジュラスが批准書を寄託したことによる。同条約は、90日後の2021年1月22日に効力を生ずることとなった。
核兵器廃絶をめざすヒロシマの会(HANWA)は、このことを心から歓迎する。
1945年8月のアメリカによる広島・長崎への原爆投下から75年間、ヒロシマ・ナガサキはその未曾有の非人間的悲惨の極限をもたらされた体験から核兵器廃絶を訴え続けてきた。これらの爆撃では、市民に対する無差別殺戮が行われ、日本の植民地支配の結果、日本に強制動員された朝鮮半島出身者や連合国の捕虜も犠牲となった。
核兵器禁止条約は、このような核兵器の使用による非人道的影響に着目し、核兵器を違法な兵器とし、その開発、実験、製造、備蓄、移譲、使用及び威嚇としての使用の禁止ならびにその廃絶を規定し、これまでの核による人間や環境の被害への支援、保障を求め、これにより、核兵器が存在する限り生じる危険性を一切排除するものである。
私たちは、「同じ思いをもう2度とさせたくない」と願う被爆者とともに、同じ思いの多くの国々や国連、国際赤十字・赤新月社運動、ICANなどのNGO団体とともに核兵器を法的に禁止することを求めて赤十字国際委員会や核不拡散条約(NPT)再検討会議など国内外で訴えてきた。条約の発効確定は、このような活動の一定の到達点として、新たなスタートに立つべき決定的な歴史的意義を持つものである。
今、核兵器をめぐる世界の状況は米露が核軍縮のための各種の条約を失効させ、小型核兵器の開発、実戦使用の道を進めるなど、核戦争をもたらす危機的状況にあるが、この動きを世界中から包囲し封じていかねばならない。
日本政府は、アメリカの核の傘に依存する安全保障政策を執り、核兵器禁止条約は、日本の安全保障を弱体化するものとして、同条約に署名しないとの態度を示している。
しかし、核の傘に依存するというのは、核兵器の使用を前提とするもので、ひとたびの核兵器の使用が連鎖的な使用に繋がり、ひいては、地球規模の気候変動により、人類、否、生物の生存自体が危険にさらされる事態を招来することが懸念されるのである。本年は、新型コロナウィルス感染症の世界的流行により、これまでに115万人もの人々の命が奪われた。軍事力をいくら強化しても、人々の命が守れない事態が起こっている。
日本の市民は、約7割が核兵器禁止条約に参加すべきとしている。
私たちは、日本政府に対し、核兵器禁止条約に一刻も早く早期に署名・批准することを求める。
私たちはヒロシマから希望を持ってこの画期的な核兵器禁止条約の発効を心から歓迎し、核兵器廃絶への道に力を結集していくことを表明する。
2020年10月25日
核兵器廃絶をめざすヒロシマの会(HANWA)