核兵器禁止条約発効1年にあたっての声明

この声明は2022年1月22日にHANWAより発出されました。

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核兵器禁止条約発効1年にあたっての声明

 本日、核兵器禁止条約が発効し、1年が経過した。86か国が署名し、59か国が批准している。

 76年前、広島市はアメリカ軍の核兵器の爆撃により壊滅させられた。日本人だけではなく植民地支配していた朝鮮半島・台湾出身者、強制連行された中国人、アメリカ人捕虜や、国策により東南アジア諸国や中国から日本に留学した人たちも被爆したり死亡させられたりした。爆裂による直接の被爆だけでなく、残留放射線による被爆は爆撃後広島市内に入った人にも及び、放射性降下物による被爆は爆心地から30キロを超える地域の黒い雨を浴びた人にまでも及んだ。広島での死亡者は1945年末までで約14万人と推定され、その後も現在に至るまで白血病やガンにより死亡させられてきた。3日後に爆撃された長崎市も同様な被爆を受けた。

 1954年3月、アメリカによるビキニ環礁での水爆実験(広島原爆の1000倍の威力)により、爆心地から約160キロの距離に停泊していた日本のマグロ漁船(第五福竜丸)が被ばくさせられたことを契機として、日本では被爆者が「自らの体験を通して人類の危機を救おう」と原水爆禁止を求める運動に立ち上がり、また、広島・長崎の被爆者に対する医療援護が被爆12年を経て行われるようになった。

 2017年7月、国連で核兵器禁止条約(TPNW)が採択され、2021年1月22日に発効した。このことは、広島の被爆者をはじめとする世界の被爆者の被害、すなわち、核兵器の非人道的影響を世界の人々が広く認識するに至り、国際法で核兵器の使用が禁止された。核兵器廃絶に向けての大きな一歩となった。

 これに対し、本年1月3日、米ロを含む核兵器保有5か国は、「核戦争に勝者はない」と言及する声明を発した。しかし、具体的に、現在13000発以上存在する核兵器につき、いつ、どのように減らし、核不拡散条約(NPT)6条の核軍縮義務を履行し完結する(=廃絶する)のか、への言及はなかった。これまでのNPT再検討会議で軍縮義務を完結する明確な約束が合意されていることに照らせば、TPNWは、「核なき世界への出口ともいえる重要な条約」(岸田首相)であり、核兵器保有国がTPNWの署名・批准に背を向ける態度を取ることは許されない。

 私たちは、核兵器保有国が安全保障を理由に核兵器の廃絶を先延ばしすることに抗し、日本政府に核兵器禁止条約へ速やかに署名・批准することを求めるとともに、核の廃絶を求める世界中の核被害者とつながって核なき世界をめざしていきたい。

2022年1月22日

核兵器廃絶をめざすヒロシマの会(HANWA)

代表 足 立 修 一

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