六カ所再処理工場アクティブ試験の即時中止を!
核兵器廃絶をめざすヒロシマの会(HANWA)は4月14日に記者会見を行い、抗議声明を発表すると同時に次のところに郵送致しました。
郵送先;小泉総理大臣、外務大臣、経済産業大臣、日本原燃、青森県、佐賀県、広島県、広島市、長崎県、長崎市
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抗 議 声 明
六カ所再処理工場アクティブ試験の即時中止を!
私たち「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」は、世界で最初に原爆による被害を受けた広島の地で、核の被害者の立場を中心にすえて、核の悲惨さを広く世に知らせることを通して核兵器の廃絶を訴え続けてきた。
3月31日に青森県の日本原燃六カ所再処理工場で、原発から出た実際の使用済み燃料を再処理するアクティブテストが、国内のみならず世界各国からの中止・凍結を求める声を無視して強行された。再処理工場の実質的な稼働は、単に原子力エネルギー利用上のみの問題ではなく、世界の核拡散と日本の核武装化にも密接に関わりを持つ問題であり、私たち「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」としても黙過できることではなく、アクテイブ試験の強行に強く抗議するとともに、再処理工場の凍結を求めるものである。私たちは、核兵器廃絶を切に求める立場から、使用目的のわからない核兵器原料の大量生産への道を性急に強行した日本原燃および政府に対して強い抗議の意思を表明するものである。
そもそも再処理は長崎原爆に使われたプルトニウムを取り出すために開発された技術であり、現在もプルトニウムという物質は核兵器を作るために必須の最重要物質であり続けている。日本はこれまで使用済み核燃料の再処理をフランス・イギリスに委託して、そのようなプルトニウムを既に43トンも「平和利用」目的として保有している。
ところがプルトニウムを燃やすための高速増殖炉「もんじゅ」は10年以上も停止中であり、余剰プルトニウムを減らすために軽水炉で燃やすというプルサーマル計画はまだ1基も稼動していない。このようにプルトニウムを消費する受け入れ先がない状況にも拘らず六カ所再処理工場を急いで稼動させなければならないという納得のいく説明は日本原燃からも政府からもなされていない。
日本はプルトニウムを核燃料として利用する核燃料サイクル政策をとっているが、原子力のエネルギー利用という目的のみからはプルトニウムを利用することの必然性はない。むしろ核燃料サイクルは経済的にも安全上も困難が多く、さらに軍事転用が容易で核兵器拡散につながる問題のため主要国はエネルギー政策を見直し、核燃料サイクル路線から撤退している。そして、再処理技術を持つ日本以外の国では核のエネルギー利用と軍事利用は不可分に共存しているのが現実の姿であろう。六カ所再処理工場は本格稼動すれば1年間に核兵器1000発分以上にも当たる8トンのプルトニウムを取り出すもので、そのような状況の中では核兵器数発分程度のプルトニウムの厳密な管理は実際上不可能とされている。
世界の核不拡散という角度からは、昨年5月のNPT再検討会議に先立つ2005年2月に、IAEAのエルバラダイ事務局長はウラン濃縮と再処理施設の建設を5年間凍結するよう提唱している。また、アメリカのUCS(憂慮する科学者同盟)は27名の著名な科学者・政策立案者による日本政府への六カ所再処理工場の運転無期限延期の要請を発表、マーキー下院議員等6名の議員も日本の核再処理についての懸念を表明、韓国からはNGOや国会議員李美卿議員等10名の議員による六カ所再処理計画撤回を求める声明の発表など、国際的な懸念の表明が続いている。
このような背景の中で今回六カ所再処理工場の実質的稼働であるアクティブ試験を日本政府が強行させたことは、イランや北朝鮮の核開発が核不拡散上の問題とされている現在の不安定な核情勢の中で、世界の核拡散を助長しかねないものとして各国に危惧を抱かせることを私たち日本の国民はもっと直視するべきである。アクティブ試験は青森県だけの問題でもなければ、単にエネルギー政策にのみ関わる問題でもなく、世界の核拡散の動きにまで影響を及ぼす大きな問題である。
今、日本の核政策が世界から懸念される状況に直面して、私たちは、世界に対して核廃絶を訴える立場から、使用目的の不鮮明な大量の核兵器の原料を生産する再処理工場の稼動の中止と閉鎖を強く訴えるものである。
このような観点から、私たちは日本原燃に対しては再処理の稼働を即刻に止めること、および青森県・政府に対しては再処理の稼働を即刻停止させた上で全国民と各国からの懸念に対して誠実な対応を示されることを求めるものである。
2006年4月14日
核兵器廃絶をめざすヒロシマの会
Hiroshima Alliance for Nuclear Weapons Abolition(HANWA)
共同代表:岡本三夫 河合護郎 森瀧春子
事務所:広島市中区上八丁堀8-23
TEL 082-502-3651 FAX 082-502-3860
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